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退職証明書の発行を求められたら?退職証明書を求められた会社担当者必見ガイド

労務顧問社会保険手続
松林 大樹コステム社会保険労務士事務所 代表

石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。 プロフィールはこちら https://www.costem-sr.jp/about/profile

退職証明書は、退職者が再就職や社会保険手続きに使用する重要な書類です。
退職の事実を証明するもので、転職先や公的機関で活用され、急な依頼にも対応できる体制を整えることが大切です。
ぜひ本記事を参考にし、退職証明書の作成や発行のポイントを押さえて適切に対応してください。

退職証明書とは何か

退職証明書の目的

退職証明書は、従業員が退職した事実を証明するための重要な書類です。
公的な書類ではないため、企業独自で書式のテンプレートを準備し、作成する必要があります。
参考:厚生労働省 書式

その目的は多岐にわたり、主に以下の3点が挙げられます。

  1. 退職の事実確認:元従業員が確かに勤務し、退職したことを証明します。
  2. 再就職時の確認資料:採用先が履歴書の内容を照合するために使用されます。
  3. 社会保険関連手続きの補助:例えば、国民健康保険や年金加入手続きにおいて、離職票の代替資料として活用されることもあります。

退職者からの請求があれば、会社は労働基準法に基づき、速やかに発行する義務があります。

参考:厚生労働省 栃木労働局「退職時の証明」

社会保険関連手続きで退職証明書が必要な場面

退職証明書は、以下の社会保険関連の手続きにおいて代替書類として用いられる場合があります。

  1. 国民健康保険への加入:退職後、国民健康保険に加入する際に、前職の資格喪失日を確認するために活用されます。手続きは退職日の翌日から14日以内に行うことが求められます。
  2. 新しい職場での社会保険加入:前職の保険資格喪失を証明するために提出を求められることがあります。
  3. 失業給付の申請:離職票が未発行の場合、ハローワークでの仮受付時に退職証明書が用いられることがあります。

退職証明書に記載すべき事項

労働基準法で定められている内容

退職証明書は、労働基準法第22条に基づき発行される書類で、以下の5項目が記載可能です。

  1. 雇用期間:従業員の雇用開始日と終了日を記載します。
  2. 業務内容:従業員が担当した具体的な仕事の内容を示します。
  3. 役職・地位:組織内での最終的な役職や地位を記載します。
  4. 賃金:離職する直前の賃金に関する情報を明記します。
  5. 退職理由:退職の理由を具体的に記載します。解雇の場合は、その理由も明確にする必要があります。

退職者が求めてるにもかかわらず、退職証明書を発行しない場合は、30万円以下の罰金が科される可能性があります。

記載例

以下は具体的な記載例です。実際の発行時に参考にしてください。

  1. 雇用期間
    例:「2015年5月15日~2023年9月30日」
  2. 業務内容
    例:「営業職(法人営業、商品提案)」「経理・総務業務(経費精算、勤怠管理)」
    ※可能な限り具体的に記載することで、受け手にわかりやすくなります。
  3. 役職・地位
    例:「販売部 部長」「製造部 主任」
  4. 賃金
    例:「月給25万円(税および社会保険料控除前)」
    ※控除前の金額を明確にすることが重要です。
  5. 退職理由
    例:「自己都合退職」「定年退職」「当社都合による退職(事業縮小のため)」

注意点

  1. 請求事項のみ記載する
    退職者が求めていない内容は記載しないことが労働基準法で義務付けられています。
    発行前に記載してほしくない項目の確認が必要です。
  2. 退職理由の慎重な記載
    解雇の場合は具体的な理由が必要ですが、記載内容は退職者の意向を確認し決定します。
  3. 業務内容・地位の詳細な記載
    兼任職務がある場合は全て記載し、内容が簡素になりすぎないよう注意します。
  4. 押印
    退職者が自ら作成させないためにも、会社印を押します。
  5. 発行期限
    退職証明書の発行期限は退職日から2年間。
    2年以内に退職した従業員からの発行希望や再発行の希望にも応じる必要があります。

退職証明書と似ている書類

離職票との違い

項目退職証明書離職票
性質と目的非公的な書類。
退職の事実を証明するために使用します。
公的な文書。
失業給付の申請に必要です。
発行元退職した会社が直接発行します。会社がハローワークに申請し、ハローワークが確認後に発行します。
用途再就職時の確認や国民健康保険・国民年金加入手続きの際の代替書類として使用されます。主に失業給付の受給手続きに使用されます。

在職証明書との違い

項目退職証明書在職証明書
法的位置づけ労働基準法第22条に基づき、退職者から請求があった場合、会社に発行義務があります。法的な発行義務はありません。
証明内容会社を退職したことを証明します。会社に在籍している、または在籍していたことを証明します。
発行タイミング退職後に発行されます。在職中でも退職後でも発行可能です。
用途転職時の確認書類や国民健康保険加入時等に使用されます。在職中の身分証明や、退職後の経歴証明として利用されます。

解雇理由証明書との違い

項目退職証明書解雇理由証明書
法的根拠労働基準法第22条に基づきます。労働基準法第22条に基づきます。
請求権者すべての退職者が請求できます。解雇予告を受けた従業員のみが請求可能です。
適用範囲解雇を含むすべての退職理由に対応します。解雇の場合にのみ適用されます。
記載内容使用期間、業務の種類、役職・地位、賃金、退職理由を記載します。解雇に至る理由を記載します。
発行タイミング退職日以降に発行されます。解雇予告日から退職日までの間に発行されます。

 まとめ

退職証明書は、退職者が再就職や社会保険手続きなどで使用する重要な書類です。
退職の事実を証明し、特に転職先や公的手続きにおいて必要とされることが少なくありません。
また、退職者から急な発行依頼がある場合もあるため、迅速に対応できる準備を整えておくことが欠かせません。
退職証明書の作成や記載内容でお困りの場合は、コステム社会保険労務士事務所の「60分無料相談」をぜひご活用ください。

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